国内旅行最大手のJTBが、資本金を現在の23億400万円から1億円に減資することが分かりました。
新型コロナウイルス流行による影響を最も受けている業界で何が起こっているのでしょうか?
今回の減資によるJTBのメリットや今後の社員の採用や給与はどうなるのか調べてみました。
国内旅行最大手JTBとは
2020年3月期の連結売上高は1兆2885億円の大企業。2位のHISに2倍以上の差をつける売上も人気もナンバーワン企業です。
従業員数はグループ連結で約2万7000人に上ります。減資による中小企業化という言葉には少し違和感を覚えてしまいます。
上場していない大手企業としても有名でサントリーや竹中工務店、佐川急便などと一緒に名前がよく上がります。
上場しない理由はいくつかあるでしょうがJTBとしては、自由な経営を目指したというところでしょうか。
今回の危機的状況で自由な経営が良い方法に向かうのか手腕が問われるところです。

減資するメリット
JTBは23億400万円から1億円に減資となります。
印象の良くない減資ですが、当然メリットがあります。
今回の減資により資本金が1億円以下になるため中小企業とみなされ、税法上の優遇措置が受けられるようです。
他社でもスカイマークは90億円の資本金を1億円に減資。毎日新聞社も41億5000万円から1億円に圧縮する予定のようです。
多くの大企業の中小企業化を考えると法律上は問題ないのだろうと判断が付きます。企業としても生き残りをかけて様々な構造改革を行っています。
政府が「Go To トラベル」を実施したことは記憶に新しいですが、国としても新しい救済策を打ち出して欲しいところですね。

今後の社員の採用や給与は?
業績悪化に対応するためJTBは、グループ従業員を2019年度比で6500人減らすことや国内115店舗の削減を柱とする構造改革を発表しています。
21年度の従業員の年収を19年度比で平均約3割カットするほか、22年度入社の新卒採用も見合わせるようです。
回復の見込みも立っておらず仕方ないのかもしれませんが、かなり厳しい措置ですね。給与が平均3割カット、上層部の方はそれ以上の方も多数いらっしゃるでしょう
3割カットされてもやっていけるとは、逆にどれだけもらっていたんだという声も出そうですが会社も社員も生き残りに必死だと思います。
過去最高売上も期待していたであろうオリピック景気とは幻想だったのでしょうか。こんな時代がくるとは誰も予想ができなかったでしょう。

同業者の動きは?
厳しいのはJTBだけではありません。旅行2位のHIS、続く近畿日本ツーリストや日本旅行も22年の新卒採用を取りやめているようです。
HISにいたっては、全社員の約2割弱に当たる約1000人の他社への出向を検討しているほか、国内店舗の約3分の1を今夏までに削減する計画のようです。
HISはJTBともともとの営業スタイルが異なり海外旅行に比重を置いているので今回のコロナによる打撃はJTB以上ともいわれています。
社員の方は他社へ出向、店舗削減のことを考えると不安でたまらないのではないでしょうか。
まとめ
- JTBが、資本金を現在の23億400万円から1億円に減資
- 2020年3月期の連結売上高は1兆2885億円、従業員約2万7000人の大企業
- 資本金が1憶円以下になるため中小企業とみなされ税法上の優遇措置が受けられる
- 2022年の新卒採用はJTB、HIS、近畿日本ツーリスト、日本旅行もなし
- JTB社員の給与は19年比で平均3割カット
- 国内2位のHISも社員約1000人の他社への出向を検討、国内店舗の約3分の1を今夏までに削減する計画
学生の就職希望ランキングで常に上位にきていた航空会社、旅行代理店ですが過去最大ともいえるピンチを迎えています。
新型コロナウイルスと企業の本当の戦いはこれからなのかもしれません。
しかし企業も黙ってはいません。独自の構造改革や場合によっては合併も含めて生き残りを考えるでしょう
以前と同じような状況になるには何年かかるのか予想もつきませんが、また気軽に旅行が楽しめる時代に戻ることを切に願います。